湖底に消えた京都市電
茨木市の北部、北摂山地の小さな集落に京都市電が保存されていました。のどかな農村の神社で集会所として静かに余生を送っていた710号、なんと、村ごとダム湖の底に沈むことになりました。平成18年春、高台への移転が始まった生保地区を訪ねました。
都会の喧騒を抜け安威川に沿って亀岡へ向かう県道を進むと山あいの集落、生保地区に付きます。すでに移転が始まり静まり返っています。生保諏訪神社は集落の裏山にありました。境内で草木に埋もれかけた710号の姿を発見。
境内にはブランコや滑り台が残っていました。電車とともに村の子供たちの遊び場だったのでしょう。
早速電車に近寄って見ます。外装はかなり痛んでいます。車体は苔生し、窓もほとんど残っていません。ドアも半開きの状態です。

車内に入ってみました。壊れた窓から入り込んだ落ち葉が積もっていました。床にはところどころ穴も。座席シートは完全に劣化していました。一通り清掃して撮影。

集落のはずれには水没地域の航空写真が張り出されていました。
神社に張られた紙切れには、御神体などは代替地に作られる社殿へ移転することが書かれています。電車は対象外のようです。
(平成18年4月2日記録)

この訪問の少し後に、電車は社殿とともに解体撤去されてしまいました。

(写真や記事はご自由にお使い下さい)
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